これ吸う間だけ、笑ってて

「答え合わせはいいから 今夜ふたり夢を見ようよ」

大安吉日祝三十路に寄せて



 30歳って普通に若い。当たり前だ。しかし10代の頃、30歳はもうとんでもない大人だった。学生というモラトリアムの真ん中で私は、漠然と大人という生き物はつらいもんだと思っていて。毎日働いて疲れた顔をして電車に揺られている人を見て、私もこうならなきゃいけないのかと思うとげんなりしながら、ずっと子供でいたいと思っていた。
 そして今、世間一般に大人とカテゴライズされて早うん年。
大人を語るにはまだあまりにも青いのかもしれないけれど、今の所、私は心から「大人って楽しいな」と思っている。ありがたいことに。学生の頃みたいになにもかもリアタイはできない。コンサートに行くために有給の残数を計算して、あれだけCDショップに買いに行くことにこだわっていたのに今は休憩中にネットショップで注文している。未読の雑誌もDVDも部屋の隅で待ちぼうけしている。

 だけど、週末の夜。1週間の疲労を炭酸で流し込みながら画面の中で笑う自担を見ている瞬間。大人って楽しい、と思うことは間違いじゃないと思える気がするのだ。

 難題に全力でぶつかって食らいついてみる。新しい世界に飛び込んだり今の自分を試したり、昔は言えなかった感謝を素直に伝えてみたり。最新の流行りにわざとのっかってみたり、ずっと好きなものを突きつめたり。ゲラゲラ素直に笑って、新鮮に驚いて、自担はいつだってありのままを見せている。
 別に大人だからっていつも貼り付けたよそゆき顔をしたり、難しい言葉で飾りたてる必要は無くって。自分の感じたことを素直に伝えて、素直に受け取って、あとは笑顔でお礼を言えばいい。そんな簡単で結構難しい事をせかせかと人生を走る私に、少し先を生きている自担は軽やかに教えてくれた。

 大人は責任重大である。自分の人生を楽しむという責任がある。
 自担を見ているとそんな風にすら思ってしまうのは、あまりにも充実して心から今を謳歌しているように見えたから。きっと、見えないどこかでたくさんの喜怒哀楽があって、平凡ではない人生の春を走り抜けてきのだと思う。
 それでも30代を迎えようとする自担はアイドルとして、人としてすごくすごく輝いている。それは私の甘い色眼鏡のせいかもしれないし、理想を夢想しているだけなのかもしれない。だけど今、不敵に軽やかに笑ってみせる自担を見つめていると、私の平凡でそれなりな20代だってあらゆる感情をひっくるめて混ざっても最後は美味しくなる気がしてしまうくらいに。
 私はきっと、自担を信じているし思いのほか結構めちゃくちゃ好きっぽい。


 
 拝啓、親愛なる自担様。
 できるだけ貴方のために夏が長く、海が青くありますように。セロリが食卓にあがりませんように。好きなことを楽しんで、やりたいことができますように。貴方の30代が、不惑へ向かう実りある季節でありますように。そして私の瞳が、貴方のためにある瞬間ができるだけたくさんありますように。
 
 髙木雄也くん、30歳のお誕生日おめでとうございます。


 



















 (ていうか自他ともに認める年上好き、男はアラサーからが旬を標榜して生きている人間だから三十路の自担既に罪深すぎてしんどいです。私だって人妻になって不倫したいのに現実際はただの未婚片想いです。なんか桃色片想いみたいですね、自担はきっと30代も「セクシーなの?キュートなの?……どっちも好きでしょ」みたいな感じでアイドルするんだと思うと私は頑張って峰不二子を目指しつつ、明日も楽しく生きるためにお金を稼ぐ。おとな、たのしい。)