これ吸う間だけ、笑ってて

「答え合わせはいいから 今夜ふたり夢を見ようよ」

結局コンサート行くと寿命伸びる気がする。

 (なんのネタバレもないし感想もない、久々に現場に行けた事が嬉しいだけの感想文です。)

 

 2022年9月10日、4年ぶりの真駒内
最後に行ったのはいつだったかな。ああ、2018年だ。その頃私はまだ正社員ではなく、自担は柵を抱いていたりしていた。*1
4年経った。世界も私も色々あったし、なんだかんだ全然オタクをやめていない。
 会場に入り席に着いて、だんだん埋まる客席を見ながら実感する。赤いワンピース、ブルーのスカート、ピンクのリボン、トートバッグからちらりと覗く団扇達。
 ああ、わたし、コンサートに来れたのか。

 

 前回は、コンサートに行く事を直前に断念した。(結果的に公演自体も中止になった。)
うちわを仕舞いながらほんのすこし泣きそうになって、ウーバーイーツでカレーをヤケ食いした1月。
 もしかしたら春には、なんて希望だった自担の舞台。昨年の中止、そして再演。それも結局いろんなことを天秤に掛けた末に行けなかった。空席を作ってしまった事をずっと後悔している。まだ封を開けないままどうにもできないチケット、有給を取り消して何食わぬ顔で仕事しながら"今頃は劇場にいたのに"と他人事みたいに思った3月。
 幸か不幸か自粛とか関係ない職種、社会情勢を受けて無言のプレッシャーが重たくなり、私生活でも悲しい事が続いた。
楽しいことは一切諦めたって、日常生活は滞りなく生きないといけない。正直もうジャニオタ辞めてしまおうかな~と思っていた、5月。
配慮を求められる職業に就く選択をしたのも、リスクを負えずに諦める判断を下したのも私だ。誰も悪くない、しゃあない、どんまい。
 だけどあれも不要、あれも不急。そんな風に取捨選択を繰り返した果てに気持ちはからっぽになって。もしかしたら、なんて期待をするのも疲れ果てて。
 
 そうして夏が来て、自担がサンダルを履いて、9月。
 今回はツアーが発表されても、申し込んでも、当選しても、ずっと期待しないようにしていた。どうせまた"仕方ない"の一言で全部諦めることになるんだから、とずっと楽しみにしないようにしていた。
 ワクワクすればするほどダメになった時がつらい。
 気付けば世間はもうかなり日常を取り戻して、あらゆる娯楽が再開していたけれど、それでも席に着くまでは。客電が落ちるまでは。自分がコンサートを、自担を観られるだなんて信じないようにして。 


 ペンライトの絶縁体を抜いた時、私はようやく感情を取り戻せた。


 身体にずしりと響くような音、歓声の代わりに息を飲む。モニターの映像とネオンのようなセットの輝き、ペンライトが揺れて音を立てる。波音みたいだった。
 双眼鏡、どんな持ち方してたっけ。それすらぎこちなくなるくらい久しぶりの現場。心臓がうるさくて、なんかちょっと緊張して「めちゃくちゃ赤多いな。やっぱり天下の自発光*2様だな〜」って思ったりしたら本物が出てきた。いや、自担を見よう。脚長い、かっこいい、髪長い、かっこいい。めっちゃ無理なんだけど、もう喉乾いた。暑い、かっこいい、しんどい。
 枯渇したと思ってた感情は大量に溢れて爪先が痺れた。
 やっとまた逢えた、心がきらきらする永遠のような一瞬。
 毎日一生懸命頑張って、その先にほんの少しだけ神様が微笑んでくれたような時間。まだ黄色い悲鳴は聞けなくても、お気に入りのリップは見えなくても、たしかに私はその中にいる。それがあまりにうれしくて泣きそうだったけど、それどころじゃなかった。なんかもう身体中の水分がどっか行った。


 



 東京ドームの夜から、2年9ヶ月。
 コンサート前夜、浮ついたブログを読み返した。
魔法なんて素敵じゃないし、王子様だなんてあまりに図々しい。シンデレラぶるのは厳しい年だ。峰不二子もちょっと無理だ。
 ただひとつ、はっきりと言えることは変わらない。わたしはこの人をいちばんにしてから、ちょっぴり強くなれた。
 正直もう二度とコンサートなんか行けないかもしれない、それくらい期待しないで暮らしていた方が楽だった2年。よく寝て良く食って働いて生きて、わたし気にしてません、なんにも趣味とかないし全然平気ですってスカした面して生きてきた。
 だけど本当はめちゃくちゃうちわ作り直して、洋服買って、3kg痩せた。後日談だけど下着のサイズも変わってた。ネイルは塗り忘れたけど。
 なんというか、恋ではないけど、限りなく近いような感覚。
 それがある限り、いい女ごっこで日常をやり過ごせてしまう。どうでもいいことにも笑顔、ムカつく時も誠実に。シュレッダーのゴミは捨てるし、放置された電球も変えるし、とりあえず徳を積んだと思っておく。とりあえずしばらくは業務スーパーウーマンを目指そう。
 だってそのうち神様の代わりに自担は笑ってくれるかもしれないから。
 
 そうやって期待することをやめないでいようと思った、もうすぐ10月。
 

*1:SENSE or LOVE / Jealous guy

*2:ジャにのちゃんねるでなんとかジャニーズを摂取していた4月